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ネイリストが知っておきたい皮膚と脳|「触れる」が心地よさに関わる理由

 

ネイリストは、毎日何時間も
お客様の身体に触れています。

爪の構造や材料、技術については学んできたのに、
「人に触れると、その人の身体では何が起きるのか」
を学ぶ機会は、ほとんどありません。

 

私たちが施術中に何気なく行っている「触れる」は、
触れられる側にとっては、
皮膚から受け取る脳への刺激の1つです。

パウラ後藤桂子
技術や接客に大きな問題がないのに、リピートを作れない場合、この視点が抜け落ちているからかもしれません。

 

では、その刺激は身体の中でどう受け取られ、
脳とどう関わっているのでしょうか。

この記事では、普段は施術動作としてしか
意識していない「触れる」を、
皮膚と脳の視点から紐解いていきます。

 

ネイリストは「触れる」を習っていない

ネイリストになると、たくさんのことを学びます。

爪の構造や病気、
材料の知識、
ネイル全般の技術。

接客やカウンセリングについて
勉強する人もいるでしょう。

 

でも、考えてみると少し不思議です。

ネイリストは施術中、
ずっとお客様の身体に触れています。

手を預かり、
指を持ち、支え、
向きを変え、
皮膚に触れる。

それを毎日、何人ものお客様に繰り返しています。

 

これほど人に触れる仕事なのに、
「人は触れられたとき、
身体で何を受け取っているのか」

については、ほとんど習っていません。

 

私自身も長い間、触れることは
「施術をするために必要な動作」としてしか
考えていませんでした。

 

  • ファイルをかけるために指を持つ
  • ケアをするために皮膚に触れる
  • 塗りやすいように手の向きを変える

 

でも、皮膚や脳について知っていくと、
この当たり前の動作が少し違って見えてきます。

まずは、私たちが毎日触れている
「皮膚」そのものから見てみましょう。

 

皮膚は、ただ身体を覆っているだけではない

皮膚には、身体の内側を外界から守るという
大切な役割があります。

でも、それだけではありません。
皮膚は、外からの刺激を受け取る感覚器官でもあります。

 

  • 触れられた
  • 押された
  • 温かい
  • 冷たい
  • 痛い

 

こういった情報は皮膚だけに留まるわけではありません。

神経を通して身体の中を伝わり、
その先にある脳へ届けられます

 

つまり、

ネイリストが施術中に
お客様の指を持つという何気ない動作も、

触れられている側から見れば、
皮膚に刺激が加わり、
その情報が身体の中へ送られている

ということになります。

 

皮膚は単なる「身体の表面」ではありません。

外で起きていることを、
身体の中へ伝える入り口でもあるのです。

 

心で起きたことは、皮膚にも現れる

さらに面白いのは、
皮膚と身体の関係が一方通行ではないことです。

 

たとえば、

「緊張して手が冷たくなった」
「怖い時に鳥肌が立った」

という経験はないでしょうか。

 

  • 緊張する
  • 怖い
  • ストレスを感じる

というのは、目に見えない心の変化です。

ところが、

ストレスや恐怖を感じたときには
身体にも反応が起こり、
血管や立毛筋などが収縮し、
指や鼻、額などの皮膚温が低下することがします。

 

つまり、

心の中で起きていることが、皮膚にも現れる。

 

外から受け取った刺激が皮膚から脳へ伝わる一方で、

私たちの内側で起きている変化も、
身体を通して皮膚に現れています。

 

皮膚と脳を別々に見ているだけでは、
人が「感じる」ということの全体は見えてきません。

 

では反対に、皮膚から届いた情報を、
脳はどう受け取っているのでしょうか。

 

皮膚から届いた情報を、脳はどう受け取っている?

皮膚から届いた情報を、
脳は単純に「触られた」という1つの情報として
処理しているわけではありません。

私たちが一言で「触覚」と呼んでいるものの中にも、
さまざまな情報があります。

 

どこに触れられたのか。
どんな刺激なのか。
どのくらいの強さなのか。

そして、ここからが重要です。

 

「どこを触られたかが分かる」ことと、
「その刺激をどう感じるか」は、同じではありません。

 

たとえば、人に触れられたとき。

「右手に触れられている」と分かることと、
「心地いい」「不快だ」と感じることは、
同じ種類の情報ではありません。

 

つまり、

触れられた刺激には、
場所や強さなどを捉える側面だけではなく、
快・不快に関係する側面もあります。

 

そして、それらの情報は脳の中でも、
すべて同じように扱われているわけではありません。

私たちが普段ひとまとめにしている
「触れる」という体験の中では、
実はいくつもの仕組みが働いています。

 

だから、

「触られたことが分かる」と
「触れられて心地いい」は別の話。

 

ここが分かると、
「触れる」という行為が思っていたより
ずっと奥深いものに見えてきます。

 

「心地いい」は、皮膚だけで生まれているわけではない

人に触れられて、「なんだか心地いい」と感じる。

これは、皮膚だけで完結しているものではありません。

 

皮膚で受け取った刺激は神経を通して伝えられ、
脳では感情と関係する働きにつながっています。

それ以外にも自律神経などの
さまざまな身体の反応が関係しています。

 

つまり、人が「触れられる」という
1つの出来事の中でも、

  1. 皮膚で刺激を受け取る
  2. 神経を通して情報が伝わる
  3. 脳でその情報が処理される
  4. 身体にもさまざまな反応が起きる

 

私たちが普段は意識していないところで、
いくつものことが起きています。

だから、

「なんとなく心地いい」という感覚にも、
身体と脳の仕組みが関わっています。

 

普段は一瞬の出来事として感じている、
「触れられる」という体験を身体の中から見てみると、
思っていた以上に多くのことが起きているのです。

 

ネイル施術は、想像以上に「触れる」仕事

ここで、いつものサロンワークに戻ってみましょう。

お客様の手を預かる。
指を持つ。
支える。
向きを変える。
皮膚に触れる。

ネイリスト側から見れば、
すべて施術に必要な動作です。

 

パウラ後藤桂子
でも、ここまで読んだあとでは、 「ただ指を持っているだけ」 とは少し違って見えるのではないでしょうか。

 

私たちが触れている皮膚は、
刺激を受け取る感覚器官です。

そこで受け取った情報は、
神経を通して脳へ伝わります。

触れられた刺激には、
快・不快に関係する側面もあります。

 

しかもネイリストは、
ほんの数秒だけ人に触れる仕事ではありません。

至近距離で向き合いながら、
長い時間、人の身体に直接触れ続ける仕事です。

 

  • 完成したネイル
  • ネイリストとの会話
  • サロンの雰囲気
  • ティーサービス等のおもてなし

 

それだけがお客様のサロン体験ではありません。

お客様は、身体でもその時間を体験しています。

 

「こう触ればいい」を知ることと、「なぜ」を知ること

では、「結局、どう触ればいいの?」と
思うかもしれません。

 

実際、理屈を知らなくても、

「こう触ればいい」

という方法を知っていれば、
それを実践することはできます。

 

私自身がそうでした。

新人時代の私は、皮膚や脳について
知っていたわけではありません。

でも今振り返ると、知らず知らずのうちに
偶然にやっていたことが沢山あります。

だから、まだ技術も接客も未熟だった頃の私に
なぜか指名のお客様が増えていった

そしてこれは、私自身の経験だけではありません。

 

長くサロンワークに携わる中で、
技術も接客も上手なのに指名につながらない人もいれば、

まだ未熟でも、
なぜかお客様から選ばれる人を何人も見てきました。

 

その違いは何なのか。

 

皮膚や脳について理解したことで、
長年不思議だったことにも、
少しずつ理由が見えるようになりました。

 

「こうするといい」という方法を知ることと、
「なぜ、そうするのか」を知ることは違います。

 

「なぜ」まで分かれば、感覚や経験だけではなく
根拠を持って実践できるようになります。

 

そして、

理解して実践することで
誰にでも「心地よい」は再現できる。

 

今まで感覚でやってきたサロンワークの
「なぜ」を可視化する。

それが、皮膚と脳を知る意味の1つです。

 

「触れる」を知ると、ネイリストの仕事の価値も違って見える

これは東日本大震災の後の私の実話です。

余震が続き、
電車もすぐに止まってしまうような状況の中でも、
サロンへ足を運んでくださるお客様方。

 

ありがたくて、
「こんな大変な中、
来てくださって本当にありがとうございます」

とお伝えすると、
複数のお客様から同じ言葉が返ってきました。

 

「私はここに、ネイルのためだけに
来ているのではないから。」

 

この言葉は、今でも忘れられません。

私たちは毎月、お客様と向き合い、
手に触れ、近い距離で時間を共有しています。

それは、綺麗なネイルをつくるために必要な時間です。

 

でも、

その時間の中でお客様が
受け取っているものは、

本当にネイルだけなのでしょうか。

 

私はこの経験から、
お客様はネイルだけではなく、

それ以外の「大切な何か」も
受け取ってくださっているのだと実感しました。

 

皮膚と脳のつながりを知っている今、
その「大切なもの」とは何か、はっきりと分かります。

 

それが分かると、
ネイリストという仕事の価値が
まったく違って見えてきます。

 

まとめ|皮膚と脳を知ると、ネイリストの仕事が違って見える

ネイリストにとって「触れる」は、
あまりにも当たり前の行為です。

でも、

その皮膚は刺激を受け取る感覚器官であり、
その情報は神経を通して脳へ伝わっています。

そして、

「触られたことが分かる」ことと、
「その刺激をどう感じるか」も同じではありません。

 

皮膚と脳のつながりを知ると、
今まで何気なくしていたサロンワークの
1つひとつに、意味が見えてきます。

 

そしてその先に見えてくるのが、

ネイリストは、お客様に何を与えられる仕事なのか。

ということ。

 

爪をきれいにするだけでは見えてこなかった、
ネイリストという仕事の価値があります。

「触れる」を知ることは、
その価値を知ることにもつながります。

 

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